【読書】七七七五で溢る文字.他 著:蒼城琉桜【感想】
著者:蒼城琉桜(ルオ)
備考:憧れの書き手様。語彙が消失するくらい、素敵な言葉を綴る御方。
まず、ルオさんお誕生日おめでとう御座います。
感想をお伝えしたいと考えていたタイミングでのお誕生日。
所謂今でしょ! というアレ。
相変わらずの感想文になりますが、ルオさんへのエールになりますように。
(布教活動とは大声では言えない)
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タイトル:七七七五で溢󠄀る文字
古典都々逸をお題とした短編小説集。
都々逸とは? 寧ろ古典? と思う方も入り込める、堅苦しさを感じない短編集です。
言い回しや言葉選びなど、美しい……と恍惚します。
月見里は残念ながら古典都々逸とは? に分類される側ですので、
純粋に短編小説として、特にコレ好きだなあ、という作品をピックアップして感想をば。
「竜田川無理に渡れば紅葉が散るし渡らにゃ聞かれぬ鹿の声」
アレですよね? 残念だったねぇ、のアレですよね?
さておき、この素直ではないぶんだけ切なさが増していく感じ。
涼しげなやり取りの最後に、熱がこもってしっとりと熱くなるような。
ルオさんの文章はラストで読者をころしにくる……と思っています。勿論良い意味で。
(上記の理由でふるふるしてしまって語彙が残念に。とろけて悦に入る)
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タイトル:白梟のかたるうた
Twitterで呟いていらっしゃった、ルオさんの都々逸集。
最初に、都々逸についての解説がある親切な本。
都々逸クラスタのアットホームさゆえなのだろうな、とほっこり。
夏は誘いが多くて困る 花火、怪談、そして君
くびり殺した夢の骸を未練が抱いて情が哭く
燃えて消えゆく恋情ならば文にしたため荼毘にふせ
特に眼をひいた三首。
あ、わかる……こんな気持ちになったりする……。
定型詩は短いからか、すとんと胸を貫いてくる印象があります。
なかでも、ルオさんの言葉は更にちりちりと炙ってくるようで、
痛い、あつい、くるしい、の三つを同時に満たされるので、
さみしい夜、酒をちびちびやりながら浸っていたい一冊です。
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タイトル:ギムナジウムの鳥籠
濃密な短編集。ゆっくりじっくり、噛みしめて味わいたい一冊。
特に好きなものをピックアップです。
「夢に堕ちる」
タイトルからやられた! というお話。
夢に対する考察、諦めているようで、冷静で。
読み進めていくと、青色に沈んでいく、つまり堕ちていくような感覚を覚えます。
やはりと云うか、後半からじわじわとこみ上げるものがあって、
それが飲み込めないと更に読み進めると、いつの間にかすっきりした後味が残るような。
深く深く潜水して、上を見上げて、ざばと水から這い出すような。
登場人物の関係性が、ぐうと咽喉をつまらせてきます。
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執筆離れが著しく、抽象的でふわふわ頼りないこと否めませんが、
考えるな、感じるんだ、の心で綴ってみた次第です。