【読書】これはただの 著:千原こはぎ【感想】

タイトル:これはただの

著者:千原こはぎ

備考:Twitter短歌クラスタ、こはぎさんの歌集



※月見里は短歌・書評の素人ゆえ、難しいことは言えません。

 感じたことを、素直に書こうと思います。



まず、儚い印象の淡い蒼の表紙に見入ってしまいました。

帯の文章からも期待が高まります。

(前述するなら、歌に合う挿絵やデザインのレイアウトの美しさが素晴らしいと感じました)


内容は……期待通りでした。否、期待以上でした。

あまり恋歌に縁のない月見里ですが、

読み終わる頃には涙腺が緩んで泣きそうになっているという。


切なさがこみ上げてくるので、恋をしている女性、

また、男性の心にも響くのではないかな、と思いました。

恋する女性は共感出来る気がするし、

男性にはこの歌集をテキストに、女性が感じる気持ちを知ってほしいです。本当に。



特に同調した五首の紹介と感じたこと

(本当に感じたことのみです。拙い感想で頭が下がります) 


すきすぎてきらいになるとかありますかそれはやっぱりすきなのですか

あるある過ぎて……けれど、やっぱり好きで。

自問自答でこたえは出なくて、誰かに問いたくなりますよね。 


欲しいとか言ってみただけお互いにだれかのものという前提で

だれかのものではないのなら、どうかわたしにくださいませんか。 


きみといた記憶としてのおみやげを選んで増えてゆくストラップ

わかります。旅行へ行く先、遠距離恋愛で逢う先。

一緒にいた記憶を持っていたくて、やたらご当地ストラップを買った記憶。 


飲み込んだことばの雫ひたひたと下書き欄に満ち満ちて海

言葉を伝えられなくて、下書きだけが増えていく。もどかしくて、泣きたくなります。 


ひとりじめできない人にこの先もたぶん幾度か棘は生まれる

トゲトゲです(悶絶しそうになりながら) 


嗚呼、今、恋してる。

ひねくれた気持ちを、そうやって素直にさせてくれた歌集でした。

また気持ちが捻れたとき、はらり捲ったら素直な自分に戻してくれる。

そんな、素敵な歌集だと感じました。わたしに近い短歌本になってくれそうです。

こはぎワールド、心から堪能出来ました!